樹脂・プラスチック・ゴム等の高分子材料

組成分析


ナイロン66
ポリエチレンテレフタレート(PET)

高分子がどのような分子種で構成されているか不明な場合は、先ず組成を分析するのをお勧めします。分子種が判明すれば、おおよその性質は推定できます。分子種が1種類ではなく、何種類かになる共重合物である場合は、共重合比率も重要です。

分子量

高分子としての性質を発現しているのは、分子が繋がっていることによります.どの程度連結しているのかを表すのが、分子量(分布)です。分子量は、強度や溶融粘度などの物性値に関係するので、トラブル解決には必須です。

結晶・非晶

結晶性高分子の場合、熱・機械特性は結晶状態を反映します。たとえば、フィルムや糸を作る際、高分子材料を一旦溶融した後、固化させます。この固化過程での温度、変形様式・速度、時間に依り、結晶・非晶状態の異なる様々な構造が発現し、強度等に大きく影響するのです。したがって、配向を含めた結晶・非晶構造を把握することが重要となります。

分散状態

弾性率、線膨張率、耐熱性などを制御するために、無機フィラーを含有している場合があります。フィラーの分散状態やフィラーと高分子の接着状態が物性に反映されるため、観察等により、これらを把握することが重要です。また、性能発現のため、何種類かの高分子を混合させて、ポリマブレンドやポリマアロイにする場合にも、分散状態や界面状態の観察などが重要となります。

添加剤


光安定剤(HALS)
酸化防止剤(BHT)

高分子材料には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤など色々な添加剤が含まれています。微量な場合が多いが、性能に大きく影響するので、その種類の特定と定量が重要です。劣化の場合などは、添加剤の変性や含有量の減少などに起因する可能性があります。

劣 化

分子量の低下、結晶・非晶状態、分散状態、添加剤の変化だけでなく、分子構造の変化も劣化の要因として挙げられます。
このような場合は分子構造を調べる必要が生じます。また、表面から変質は起きることが多いので、どの程度の深さまで変質が進行しているのか、深さ方向の分析も欠かせません。

分析メニュー

高分子材料に関係する分析項目・手法は非常に多く、分析の立場で見ると一筋縄ではいきません。闇雲に分析するのではなく、ある程度の推論を加えて、分析手法を決定することが重要です。

高分子材料によく用いられる手法

項目 詳細 手法
組成分析 溶媒可溶 FT-IR、溶液NMR、GC/MS、MALDI-MS、等
溶媒不溶 FT-IR、熱分解GC/MS、化学分解分析、等
分子量分布   GPC、GPC-MALS
分子サイズ GPC-MALS
分岐度 長鎖分岐 GPC-MALS
短鎖分岐 NMR、FT-IR
レオロジー特性   動的粘弾性、回転粘度計・毛管法(定常流)
化学構造解析   FT-IR、Raman、ESR、固体・溶液NMR
表面・深さ方向分析   XPS、TOF-SIMS、FT-IR(ATR法)、精密斜め切削法
形態観察 分散状態 SEM、TEM、3D-TEM、SPM
微小部の元素分布 SEM-EDX、TEM-EDX、TEM-EELS
加熱発生ガス   GC/MS、TG-MS、TPD-MS
微小異物分析   顕微FT-IR、µ-MS、SEM-EDX
添加剤 組成分析 抽出、 FT-IR、 溶液・固体NMR、 GC/MS、等
定量分析 抽出、 GC/MS-SIM、 HPLC/UV、 LC/MS/MS、等
カーボンブラック定量 TG
無機フィラーの同定 X線回折、蛍光X線
含有微量元素 金属 ICP-MS、ICP-AES
ハロゲン等 イオンクロマト
項目 詳細 手法
結晶 結晶構造 X線回折
結晶化度 X線回折、DSC、密度
結晶サイズ X線回折
結晶配向度 X線回折
融点 DSC
微小部の結晶性、配向度 顕微Raman
ラメラ構造、長周期 X線小角散乱
非晶 非晶部の運動生 固体NMR
剛直非晶 温度変調DSC
ガラス転移温度 温度変調DSC、動的粘弾性
非晶部の自由体積 陽電子消滅法
結晶-非晶 配向度 偏光FT-IR、複屈折
形態観察 TEM、SPM
結晶-非晶の状態 DSC、固体NMR、動的粘弾性

劣化解析メニュー

高分子材料は色々な使い方がされていますが、使用していくうちに、光、熱、酸化、吸湿、応力などにより劣化が進行し、本来の性能が低下します。劣化の程度や劣化の要因を評価することは、非常に重要です。
ただし、高分子材料の劣化解析に適用できる分析項目・手法は非常に多岐にわたります。闇雲に分析するのではなく、ある程度の推論を加えて、分析手法を決定することが重要です。

対象 項目 分析項目 手法
高分子鎖 分子鎖の切断 分子量分布 GPC、GPC-MALS
官能基など化学構造の変化 官能基 FT-IR、Raman、 ESR、 固体・溶液NMR
深さ方向分布 精密斜め切削法、 FT-IR、XPS、TOF-SIMS
高分子の高次構造 結晶の状態変化 結晶化度 X線回折、DSC、密度
結晶構造、配向度、サイズ X線回折
ラメラ構造、長周期 X線小角散乱
微小部の結晶性、配向度 顕微Raman
非晶の状態変化 非晶部の運動性 固体NMR
ガラス転移温度 DSC、温度変調DSC、動的粘弾性
結晶・非晶の状態変化 配向度 偏光FT-IR、複屈折
形態観察 TEM、SPM
結晶-非晶の状態 DSC、固体NMR、動的粘弾性
フィラーやポリマアロイなどの分散・界面状態の変化 形態観察 SEM、TEM、SPM
微小部の元素分析 SEM-EDX、TEM-EDX、TEM-EELS、3D-TEM
発生ガス成分の変化 加熱時発生ガス GC/MS、TPD-MS
異物の発生 微小異物分析 顕微FT-IR、µ-MS、SEM-EDX
高分子以外の含有物 安定剤などの添加剤の変性や含有量の変化 有機物の定性、定量分析 抽出、GC/MS、 LC/UV、 LC/MS/MS等
カーボンブラック定量 TG
無機フィラーの定量 X線回折、蛍光X線
含有微量元素の変化 金属 ICP-MS、ICP-AES
ハロゲン等 イオンクロマト

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