ICP質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP-MS)

原理

アルゴンのプラズマをイオン化源とする質量分析法である。試料溶液をネブライザーで霧状(エアロゾル)にしてプラズマに導入する。プラズマに導入された試料溶液中の元素は脱溶媒、気化、原子化の工程を経てイオン化される。プラズマ中で生成したイオンはインターフェイス(サンプリングコーン、スキマーコーン)を通過して、高真空中に引き込まれる。このイオンは、イオンレンズで収束され、質量分析計で質量/電荷数(m/z)に応じて分離され、検出器で計測される。質量分析計には、四重極型と二重収束型のものがある。

ICP-MS装置の概略図

ICP-MSの種類

四重極型ICP-MS (ICP-Q-MS)

最も広く使用されているICP-MSである。質量分解能が低いため、分子イオンや同重体イオンのスペクトル干渉が問題となることがあるが、高感度分析が可能である。

二重収束型ICP-MS (ICP-SF-MS)

扇形電場と扇形磁場を組み合わせた質量分析計であり、質量分解能が高い装置である。分解能数千~1万の測定が可能であるため、四重極型ICP-MSで問題となるスペクトル干渉を解決することが可能である。