再生医療はこれまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど、臨床現場の新たな治療の選択肢として大きな期待が寄せられており、市場の急速な拡大が予想されています。 東レリサーチセンターでは20年以上にわたるバイオ医薬品・抗体医薬品の経験を基盤として、細胞医薬、遺伝子治療薬等の再生医療等製品に関する分析評価サービスを提供しています。 品質試験・安定性試験は、GMP体制下で実施しています。医薬品の品質評価以外にも、イメージング解析により様々な研究課題の解決をサポートしています。 また、再生医療産業化を実現すべく周辺技術の開発支援として、培地の分析、E&Lをはじめとした容器・材料の分析、足場材の分析にも対応しています。
細胞医薬の分析
細胞医薬の品質試験・安定性試験・試験法開発・バリデーション(GMP対応)
細胞医薬の品質管理に必要な各種試験に対応しています。
ディープフリーザーや液体窒素タンクを保有しており、安定性試験も実施しています。
評価項目 | 試験項目 | 東レリサーチセンターの機能 |
---|---|---|
確認試験 | 性状、細胞表現型、分化能、細胞種等 | 顕微鏡観察、ELISA、フローサイトメーター、LC-MS/MS、定量PCR |
細胞の純度試験 | 細胞表現型、異常増殖等 | フローサイトメーター、定量PCR |
製造工程由来不純物 | 製造工程由来物質(血清由来アルブミン、抗生物質等) | ELISA、LC-MS/MS、GC-MS、定量PCR |
目的外生理活性不純物 | 生理活性物質等 | ELISA、LC-MS/MS |
安全性 | エンドトキシン、無菌試験等 | エンドトキシン(ゲル化法、比濁法、比色法)無菌試験* |
力価試験、効能試験、力学的適合性 | タンパク質発現、生理活性物質の分泌能、分化能、 細胞表現型、細胞増殖能、耐久性等 |
ELISA、LC-MS/MS、Cell based -assay、フローサイトメーター |
含量 | 細胞数、細胞生存率等 | セルカウンター |
再生医療等製品(ヒト細胞加工製品)の品質,非臨床試験及び臨床試験の実施に関する技術的ガイダンスについて(薬機発第0614043 号 平成28年6月14日)を参考に記載
*無菌試験は外注対応
<分析事例>
遺伝子治療薬の分析
遺伝子治療薬の品質試験・安定性試験・試験法開発・バリデーション(GMP対応)
遺伝子治療薬の品質管理に必要な各種試験に対応しています。
ディープフリーザーや液体窒素タンクを保有しており、安定性試験も実施しています。
評価項目 | 東レリサーチセンターの機能 |
---|---|
確認試験 | SDS-PAGE、ウエスタンブロット |
純度試験 | 定量PCR、SEC-MALS、HPLC |
製造工程由来不純物 | ELISA、定量PCR |
目的外生理活性不純物 | ELISA、LC-MS/MS |
感染性因子及び無菌試験 | 外注対応 |
エンドトキシン試験 | ゲル化法・比濁法・比色法 |
力価試験 | Cell based -assay、定量PCR |
含量 | 定量PCR、蛍光プレートリーダー |
その他 | pH、不溶性微粒子、不溶性異物 |
遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保について(薬生機審発0709第2号 令和元年7月9日)を参考に記載
<分析事例>
mRNA医薬品の分析
バイオイメージング
各種高分解能・高感度のイメージング技術を有し、分子・細胞レベルの解析を実施しています。
<分析事例>
容器の評価
培養容器、保存容器などの評価
培養や保管時の容器等からの溶出物は細胞の育成に影響を及ぼす可能性があるため、容器からの溶出物を把握することが重要です。
また製造工程や保存容器から医薬品に溶出した溶出物は、人体への安全性を評価する必要があります。
溶出物を評価する手段として、Extractables(抽出物)および Leachables(浸出物);E&L を確認することが広く推奨されています。
弊社では、長年培った分析技術と高性能機器を駆使して容器溶出物評価及びリスクアセスメントを実施しています。⇒詳細はこちら
培地の分析
細胞の増殖、分化を制御するためには、それぞれに最適な成分の培地が用いられます。
また、目的通りの増殖、分化が行われていることを確認する指標としても、培地中の微量な成分の評価が必要となります。
弊社では、培地成分の網羅的な解析から、重要成分の精密な評価まで、目的に合わせた評価を行っています。
培地トータル分析メニュー
成分 | 分析手法 | 定量成分例 |
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アミノ酸 アミノ酸誘導体(代謝物) |
LC/MS/MS、 アミノ酸分析 |
Ala、 Arg、 Asp、 Glu、 Gly、 His、 Ile、 Leu、 Lys 等 アミノアジピン酸 等 |
糖類・糖誘導体 | LC/MS/MS、 HPLC | グルコース、フルクトース等 |
核酸 | LC/MS/MS、 qPCR、 DNAチップ | ヌクレオチド、RNA、miRNA、残留RNA |
ビタミン類 | LC/MS/MS、 HPLC、 ELISA | 水溶性:ビタミン B1、B2、B3、B6、B12、ヨウ酸、ビオチン 脂溶性:ビタミンA、D、E.K |
無機物(金属、塩) | ICP-AES、 ICP-MS、 XRF | 金属: 亜鉛、 銅、 セレン 等 |
無機塩類: Na、 K、 Ca等 | ||
無機物 (イオン、酸、アミン) |
IC, IC/MS, CE | 無機アニオン:Cl-、 Br-、 NO2-、 SO42- |
無機カチオン:Li+、 Na+、 K+、 Mg2+ 、 etc | ||
有機酸:コハク酸、 ピルビン酸 | ||
アミン:低級アミン類 | ||
界面活性剤 | LC/MS/MS、 (各種前処理) NMR等 | ポリソルベート、 プルロニック® 等 |
成長因子など | ELISA、 LC/MS/MS | インシュリン、 トランスフェリン 等 |
タンパク質 | ELISA、 LC/MS/MS、 プロテオミクス | サイトカイン、 アルブミン、 宿主細胞由来タンパク質 等 |
抗生物質 | LC/MS/MS | ペニシリン、 ストレプトマイシン 等 |
添加剤 | HPLC、 NMR | 2-メルカプトエタノール、 シメチコン 等 |
<分析事例>
- 再生医療研究のための培地中マイクロRNA(miRNA)測定の活用
- 培地中のアミノ酸・代謝成分・緩衝剤の網羅的分析
- ICP-MS、ICP-AESによる培地中の無機元素分析
- 各種検体の質量分析プロテオミクス
足場材の評価
細胞の接着、増殖、分化を制御するための細胞培養基材として、また、体内での再生誘導を目的として、スキャフォールドは再生医療には欠かせない材料です。
材料としての安全性の評価、細胞とのインタラクションなど、技術開発におけるマクロからミクロに至る多くの課題解明に、弊社の材料分析機能をご提供します。
<分析事例>
DDSの評価
細胞内の目的の場所に安定な形で送達するためにDDSが必要となります。
東レリサーチセンターでは、DDSとして用いられるリポソームなどの評価も行っています。
<分析事例>
MPSの評価
Organ-on-Chips/Microphysiological System(MPS)開発支援
動物実験代替ニーズの高まりから新たな薬物動態・化合物評価ツールとして期待されているOrgan-on-Chipsに代表されるMPS(生体模倣システム)は、細胞と材料の融合デバイスであり、目的とする臓器機能を再現するためには、最適な材料選定・設計が必要です。
弊社では豊富な材料/バイオ分析の経験から培った分析技術を生かして、対象の材料特性に適した分析を総合的に提案・実施しています。
<分析事例>
<関連ワード>
細胞医療、細胞治療、細胞製剤、組織治療、細胞医薬品、メッセンジャーRNA
規格試験、遺伝子解析、承認申請