DDS(ドラッグデリバリーシステム)

東レリサーチセンターが保有するDDS(Drug Delivery System)の評価に関する技術を、以下にご紹介します。技術紹介などのご希望がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから

ご紹介技術情報

DDSを活用した医薬品開発の支援

DDSキャリアの分析・評価への取り組み

リポソーム製剤の開発に関するガイドライン[平成28年(2018)年3月28日、厚生労働省、薬生審査発0328代19号]と各項目における分析手法は以下の通りです。
東レリサーチセンターでは、すべての項目について分析・評価可能です。リポソームの分析手法を高分子ミセル、無機ナノ粒子、エクソソームに適用することも可能です。

項目 手法 項目 手法
粒度分布 DLS 凝集 DLS. 濁度
形態・構造 TEM. AFM 封入率 HPLC, (ICP-MS)
表面電荷 ELS(ゼ一夕電位) 不純物(原料由来、
製造工程由来、
目的物質由来)
HPLC, LC-MS
熱力学的特性 DSC
放出特性 HPLC, (ICP-MS) エンドトキシン LAL
浸透圧 凝固点降下法 脂質組成 LC-MS, GC-MS
pH - 表面修飾分子 LC-MS, 免疫電顕

DDSキャリアの分析・評価への取り組み

mRNA含有脂質ナノ粒子のクライオTEM観察

脂質ナノ粒子(LNP)の形態やサイズを解析するためにはクライオTEMが有効であり、mRNA等の含有物の情報も取得可能です。特にmRNAに関してはThionine染色を併用することで、mRNAの形態や存在箇所を明瞭に可視化することが可能です。
本資料では同一ロットの①ブランク品、②mRNA含有品(未染色)、③mRNA含有品(Thionine染色)の構造を比較した結果を紹介します。

mRNA-LNPのクライオTEM像(Thionine染色)

mRNA含有脂質ナノ粒子のクライオTEM観察

薬物内包リポソーム粒子のクライオTEM-液中AFM解析

薬物送達のメカニズムを解明するうえで、薬物を内包するキャリアの評価は重要な課題です。この評価手法として、クライオTEM観察ではリポソームの内包薬物を可視化することができます。
また、液中AFM観察を実施し、フォースカーブ解析によりベシクル強度を評価することも可能です。

ドキソルビシン(抗がん剤)内包リポソームのクライオTEM観察

薬物内包リポソーム粒子のクライオTEM-液中AFM解析

薬物の細胞内分布イメージングの極限追及

蛍光プローブによる薬物分子の標識は、薬物動態への影響が懸念されています。それに代わる手法として、薬物動態への影響がより小さい元素(同位体)標識と、高空間分解能質量顕微鏡(NanoSIMS)を用いた、薬物(核酸医薬)の細胞内分布の可視化への取り組みを紹介します。

SEM/NanoSIMSコンビネーションによる核酸医薬品の細胞内分布の可視化

薬物の細胞内分布イメージングの極限追及

原子間力顕微鏡(AFM)によるDDSキャリアの形状観察および弾性率評価

ドラッグデリバリーシステム(DDS)に着目した研究・開発が盛んであり、DDSキャリアの分析は重要性が増しています。原子間力顕微鏡(AFM)は液中で染色することなくナノスケールの空間分解能で観察可能な唯一の顕微鏡であり、東レリサーチセンターにおいて、DDSキャリアに適用した事例を紹介します。

AFMによるリポソーム・エクソソームの液中観察

原子間力顕微鏡(AFM)によるDDSキャリアの形状観察および弾性率評価

高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いた分子間相互作用の可視化

高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いると、分子レベルでの相互作用(結合・解離など)をリアルタイムで観察(可視化)することができます。高速AFMにより核酸アプタマーとタンパク質の結合・解離を評価した事例を紹介します。

核酸アプタマー固定後の水中AFM像

高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いた分子間相互作用の可視化

DDSキャリアペプチドの合成

薬物送達システム(DDS)のキャリアとしてペプチドが注目を集めています。特に細胞膜透過性ペプチド(CPP)を利用した薬剤分子設計が広く検討されており、東レリサーチセンターでは多くのCPP合成実績があります。技術資料では、リンカーの付与など豊富な化学修飾、さらに二環化などの環状化について紹介しています。

環状ペプチドのDDSへの応用

DDSキャリアペプチドの合成

The TRC News:DDS技術に用いられるバイオマテリアルの現状と分析・評価への取り組み

近年、医薬品の副作用の軽減や有効性の向上を目指し、ドラッグデリバリーシステム(DDS:Drug Delivery System)に着目した研究・開発が進められている。DDSに用いられるキャリアとして、リポソーム、高分子ミセル、無機ナノ粒子といったバイオマテリアルやDrug Conjugates(ADC等)が挙げられる。その中でも当社はリポソームの分析・評価技術の確立に注力しており、難易度が高いTEM(透過型電子顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)を中心にリポソームの分析事例を紹介する。

The TRC News記事は以下リンクよりご購入いただけます
https://www.toray-research.co.jp/service/trcnews/2019/1910_02.html

原子間力顕微鏡(AFM)を用いたmRNAワクチン/mRNA医薬品に向けた品質評価

mRNAワクチンやmRNA医薬品の製造には、鋳型となるプラスミドDNAが用いられることが一般的です。mRNAの純度を高めるためには、プラスミドDNAの直鎖化率を高める必要があり、その評価が求められます。
原子間力顕微鏡(AFM)では、環状と直鎖状のプラスミドDNAを可視化して確認することができます。また鎖長の計測も可能です。

AFM観察結果(液中)および鎖長計測

原子間力顕微鏡(AFM)を用いたmRNAワクチン/mRNA医薬品に向けた品質評価

mRNA医薬品の品質評価への取り組み

東レリサーチセンター CMC分析研究部による「mRNA医薬品の品質評価への取り組み」について紹介資料を作成しました。すべての分析手法でGMP対応が可能です。
試験法開発、分析法バリデーション、安定性試験について、ワンストップで対応します。