原理
カソードルミネッセンス(CL)法は、試料に電子線を照射した際に放出される光を検出する手法である(図1)。SEM像で位置の確認を行いながら、任意の場所の状態分析を行うことができる。CLは伝導帯の底付近から価電子帯の頂上付近への遷移に対応するため、元素情報ではなく結晶としての性質(結晶欠陥、不純物、キャリア濃度、応力等)を反映する(図2)。表1にCL法の対象分野を示す。材料により得られる情報は異なるが、空間分解能が高いため特に素子状態の評価に適している。一般的なCL装置の概略図を図3に示す。通常、電子線の励起源かつ位置の確認用に走査型電子顕微鏡(SEM)が用いられる。試料からのCLは集光ミラーで集光され、直接あるいは光ファイバーを通して分光器に導かれ、各種検出器で検出される。



表1 CL法の応用分野
材料 | 代表例 | 主な応用分野 | 評価項目 |
---|---|---|---|
半導体 | Si,SiGe,SiC | 電子デバイス(LSI.IC,パワーMOSFET,IGBT) | 欠陥、転位、不純物 |
GaAs,InP,GaN,AnSe | 光デバイス(LD,LED,PD) 電子デバイス(FET,HEMT,HBT,SBD) |
組成、キャリア濃度、欠陥、転位 | |
炭素材料 | ダイヤモンド、カーボン膜、フラーレン、ナノチューブ | 電子デバイス、光デバイス、保護膜 | 欠陥、不純物 |
誘電体 | BaTiO3,PZT,ZnO | キャパシタ、電子デバイス(high-k材) | 酸素欠損、結晶粒界 |
酸化物 | SiO2,MgO,Al2O3 | 電子デバイス(酸化膜)、光ファイバ、PDP | 酸素欠損、結晶性、不純物 |
蛍光体 | BAM,ZnS | PDP、光デバイス | 希土類価数、不純物 |
その他構造解析の分析の原理