バイオマーカーとは「通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される特性」 と定義され [Clin Pharmacol Ther. 2001;69:89-95]、広義には日常診療で用いられるバイタルサインや、生化学検査、血液検査、腫瘍マーカーなどの各種臨床検査値や画像診断データなどが含まれます。バイオマーカーは、疾患の診断や予後の予測などに用いられるだけでなく、医薬品の研究開発(新薬の探索研究、非臨床試験や臨床試験など)においても重要な役割を果たしています。
1. バイオマーカーの探索
遺伝子解析(マイクロアレイ)やプロテオーム解析などを用いて分子バイオマーカーを探索します。
遺伝子解析
高感度DNAチップ 3D-Gene® を用いたマイクロRNA解析および遺伝子発現解析
本サービスの特徴
- 東レの高感度DNAチップ 3D-Gene® を用いて、網羅的に、高感度かつ再現性良く、miRNAやmRNAの解析が可能です。
本手法の適用事例
解析サービス例
- 組織や細胞サンプル中のmiRNA解析・mRNA解析、FFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)サンプル中のmiRNA解析
- 血液などの体液中のmiRNA解析
- 培養上清や細胞外小胞(EV)中のmiRNA解析
リンク:
NGS(次世代シーケンサー)
「アクトメッド株式会社のがんゲノム解析」サービス提供は終了しました。
プロテオーム解析
タンパク質を網羅的に解析する手法です。LC-MS/MSを使用します。
総合プラットフォームとしてのプロテオミクスサービスをご提供します。
本サービスの特徴
- 試料の前処理から測定、データ処理まで、プロテオミクスのあらゆるニーズに対応します。
- 分析計画の段階から専門家がアドバイスします。
- 前処理からデータ解析まで国内で完結します。
- 臨床試験の分析も実績が多数あります。
本手法の適用事例
解析サービス例
- 定量プロテオミクス
- 非標識プロテオミクス
- リン酸化プロテオミクス
- プルダウン試料の分析
- タンパク質バンドの同定
測定実績のあるサンプル
- 各種モデル生物
- 臨床検体(各種体液、その他)
- 培養細胞、培養上清
- アフィニティ精製試料
- 細胞外小胞の生成物
- メタプロテオーム など
非標識法の応用例:相互作用タンパク質の同定
リンク:
メタローム解析
金属元素を網羅的に解析する手法です。ICP-MSを使用します。
本手法の適用事例
- 金属元素分析による病態把握や疾患診断
測定実績のあるサンプル
- ヒト、サル、マウス、ラットなどの生体液(血漿、尿など)や各種生体組織
生体試料中の微量金属元素の高感度一斉分析(ICP-MS)
リピドーム解析
脂質を網羅的に解析する手法です。LC-MS/MSを使用します。
解析サービス例
- ノンターゲット解析(未同定、同定)
- ターゲット解析
2. バイオマーカーのイメージング
当社では、多数のイメージング手法を取り揃えております。
工業材料分析で培ってきたイメージング技術を生体・バイオ試料分析へ適用し、お客様の研究開発 のお手伝いをさせていただきます。
リンク:
質量分析イメージング μm~nmオーダーの領域で組成・元素を見る
- TOF-SIMS
- NanoSIMS
- LA-ICP-MS
- MALDI-MS
分光イメージング 比較的広範囲で、結合状態や高次構造を見る
- 蛍光
- IR
- ラマン
- X線CT
顕微鏡イメージング nmオーダーの微細な形態を見る
- SEM
- TEM
- AFM
3. バイオマーカーの定量
GLP規制下での生体試料中の薬物濃度測定で培った技術と経験により、信頼性の高いバイオマーカー定量を行います。
リンク:
分析法の開発・バリデーション
バイオマーカーの分析法の立ち上げから承ることが可能ですのでご相談下さい。
分析法バリデーションは、ICH M10ガイドライン「生体試料中薬物濃度分析バリデーション及び実試料分析」や各局のバイオアナリシスのガイドライン・ガイダンスに対応して(一部対象外)、データを取得します。
バイオマーカーの定量
LC-MS/MSやECL、ELISA法を用いて、非臨床試験や臨床試験で採取された血液や尿、組織中のバイオマーカーを定量します(GLP省令や信頼性の基準対応も可能です)。ICP-MS(/MS)を用いて、 血液や尿、組織中の金属元素の定量も承ります(信頼性の基準対応も可能です)。
主な分析例
測定対象 | 内容 | 手法 |
D,L-アミノ酸 | D-アミノ酸と様々な精神疾患や生殖との関連が注目されています。D-アミノ酸を高感度に測定します。 | LC-MS/MS |
スフィンゴシン 1-リン酸(S1P) | S1Pは細胞内外で細胞増殖、免疫機能、神経伝達物質の調節などに関与する脂質メディエーターの一つであることが知られています。また急性肝不全の予後予測因子としても期待されています。 | LC-MS/MS |
カルニチン (遊離体、アシル体) | カルニチン類は新生児スクリーニングによる先天性代謝異常の早期発見に利用されています。また、長鎖アシルカルニチン群がパーキンソン病診断のバイオマーカーになることが明らかとなり、早期診断や発症前診断の足掛かりになると期待されています。 | LC-MS/MS |
脂肪酸、脂肪酸エステル | 血中の必須脂肪酸のバランスは疾患リスクを知るための指標として注目されています。特に循環器領域では、心血管性疾患をはじめ様々な炎症性疾患の指標として重要視されています。 | LC-MS/MS |
微量金属 | 生命活動と生体内微量金属には密接な関係があり、病態と微量金属との関係が注目されています。 | ICP-MS(/MS) |
その他の分析例
サイトカイン | インターロイキン、腫瘍壊死因子、増殖因子、ケモカイン | LC-MS/MS ECL ELISA など |
ペプチド | アンジオテンシン類、グルタチオン | |
脂質メディエーター | プロスタグランジン類、アナンダマイド、コレステロール、オキシステロール、 エストラジオール、アルドステロン、胆汁酸 | |
ビタミン | VA、VB1、VB2、VB6、VD、VE、VK | |
核酸 | miRNA、アデノシン一リン酸 | |
ムコ多糖 | コンドロイチン4-硫酸 | |
その他 | カテコールアミン、L-DOPA、一酸化窒素 |
上記以外のバイオマーカーについてもお問い合わせください。
タンパク質の定量(定量プロテオミクス)
安定同位体標識ペプチドを標品としたLC-MS/MSによるタンパク質の定量を行うため、抗体作製は不要です。高い選択性により、複数種類のタンパク質を網羅的に高感度定量することが可能です。
リンク:
本サービスの特徴
- 安定同位体標識ペプチドの合成から定量まで、ワンストップで承ります。
- レギュレーション(信頼性の基準)対応も可能です。
本手法の適用事例
- 製薬、食品、体外診断薬等の開発
- 抗体を使用できないタンパク質の定量(変性したい試料や類似タイプのアイソタイプが多い場合等)
- 目的タンパク質の定量値設定
- 特定の翻訳後修飾の定量