構造解析

東レリサーチセンターでは、低分子医薬品の不純物構造解析、主成分の構造決定・構造確認、代謝物解析を、「申請資料の信頼性の基準」に準拠して対応致します。

*低分子医薬品以外のモダリティの構造解析についてはこちらをご参照ください。
核酸医薬品ペプチドバイオ医薬品

不純物構造解析

微量目的成分の分取から、LC/MS/MS、NMR等での構造解析までワンストップで対応
条件検討から、分取、構造解析まで迅速に実施し、推定構造を報告致します。
他社で断られた案件や難易度の高い案件もお任せください。

低分子医薬品の不純物に関するガイドライン

ICH-Q3Aガイドラインにて、例えば1日投与量2g以下の場合、0.10%以上の不純物について構造を決定することが求められます。弊社ではQ3Aで求められる微量不純物の構造解析について、「申請資料の信頼性の基準」準拠での対応が可能です。

<原薬の不純物に関するガイドライン ICH-Q3A>

1日最大投与量 *1 報告の必要な閾値 *2,3 構造決定の必要な閾値 *3 安全性確認の必要な閾値 *3
≦2g/日 0.05% 0.10%又は
1日摂取量1.0mg
(どちらか低い方)
0.15%又は
1日摂取量1.0mg
(どちらか低い方)
>2g/日 0.03% 0.05% 0.05%

*1  1日当たりの原薬の摂取量
*2  これより高い閾値を用いる場合は、科学的妥当性を示すこと。
*3  毒性の非常に強い不純物については、これよりも低い閾値が適当な場合もある。

微量不純物の構造解析手順

  • Step1 分取条件検討
    • 分取方法の検討、HPLCの条件検討などを行います。
  • Step2 少量分取、LC/MS測定、 1H NMR測定
    • 少量を分取し、LC/MS測定、場合によってはLC/MS/MS、1H NMR測定を実施します。
      このステップで分子量、部分構造の情報が得られ、目的不純物を同定できる場合もあります。
  • Step3 本分取
    • Step2で目的不純物を同定できない場合、 NMRによる構造解析を実施するため、より多くの目的不純物を分取します。
  • Step4 LC/MS/MS、NMR測定
    • LC/MS/MS:高分解能MSによる組成演算およびMSnによるフラグメント情報の取得
    • NMR:各種二次元NMRスペクトルの取得
    • 総合的な解析を実施し、目的不純物の構造を同定します。

試験の進捗情報を随時ご連絡し、ご相談しながら試験を進めます。
分析結果、報告書の内容についても、ご納得いただけるまでご説明いたします。

分取

オンライン固相抽出装置

オンライン固相抽出法により微量成分の分取に迅速対応

酸化や光による分解を抑制しながら、迅速な分取を実施します。
濃縮、脱塩の操作が不要なため、不安定な物質、揮発性物質も分取可能です。

製剤中の不純物の分取

製剤中の不純物の場合、UV吸収を持たない賦形剤成分が目的不純物ピークに被ってしまうケースがあります。弊社ではELSD検出器を用いて夾雑成分がないかを確認、適切なLC条件の設定、二次精製などを行い製剤中の不純物を純度高く分取します。

微量不純物を構造解析した貼付剤製剤(薬効成分)の例

LC/MS/MS測定

弊社は主要メーカーの各種、高性能質量分析装置を保有しています。
目的不純物の特徴に合わせて、各種、装置を使い分けています。

LC-MS/MS

Orbitrap Fusion Lumos(FT-MS)
(ThermoFisher Scientific)

MALDI-TOF/MS

Autoflex speed (TOF/TOF)
(Bruker)

New!

このたび、AB SCIEX社の高分解能質量分析装置 ZenoTOF 7600を導入し、より迅速に構造解析を実施することが可能になりました。

LC-MS/MS
ZenoTOF 7600(Q-TOF)
(AB SCIEX)

<ZenoTOF7600の特長>

  • 新規解列方式 EAD(電子励起解離)を搭載
    →CIDとは異なるイオンで構造解析の確度がUP
  • Zeno Trap pulsing でさらに高感度に
    →従来機比較500倍以上で濃縮・分取せずに微量成分の構造解析が可能
  • 高分解能、広いマスレンジ
  • 革新的なソフトウエアで迅速に解析・ご報告

NMR測定

クライオプローブを搭載した高感度NMRにより、少量のサンプル量で各種NMRスペクトルの取得が可能です。
オンライン固相抽出装置により分取した不純物を少量のNMR用重溶媒に溶解し、各種NMRスペクトルを測定(SPE-NMR)。過去の豊富な不純物データを参考に迅速に構造解析します。

NMR
AVANCE Ⅲ HD 500 (Prodigy probe)
(Bruker)

必要サンプル量

1H NMR >1μg
1H-1H 2DNMR >10μg
1H-13C 2DNMR >50μg
13C NMR >300μg

分析事例
ロキソプロフェン原薬中に存在する含有量0.24%の不純物の構造を同定

LC/MS及び組成演算、LC/MS/MSにより
元素組成、官能基の構造情報を取得

・C10 H8 O4 増加
・カルボキシル基が3個存在

二次元NMRスペクトルの例
類縁物質のHMBCスペクトル

1H-1H、1H-13Cの各種二次元NMRを測定し解析を行い、類縁物質の推定構造を導出

主成分の構造決定・構造確認、定量

各種質量分析装置、NMR、UVなどによる原薬・製剤の主成分の構造決定・構造確認試験にも対応しています。また、天然物をはじめ各種化合物の構造解析もお任せ下さい。定量NMRは「申請資料の信頼性の基準」準拠での対応が可能です。

代謝物解析

新薬の創出において、開発早期の段階からヒトの主代謝物を予測することは重要です。
弊社では、ヒト肝ミクロソームによる代謝物生成からLC/MS/MS測定、解析ソフトを用いた迅速な代謝物検索に対応しています。