車載用リチウムイオン電池の現状と今後の展望

記事No. 202101-01
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車載用リチウムイオン電池の現状と今後の展望

著者 国立研究開発法人産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 電池技術研究部門 総括研究主幹 小林 弘典
要旨 車載用蓄電池は、エネルギー密度に対する要求が高く、リチウムイオン二次電池(LIB)の優位性が高い。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)の車種が異なることで、電池の役割のみならず、電池の運用方法も異なる。現在、第二世代の車載用LIBでは高エネルギー密度化が進んでいるが、材料の変更による更なる高エネルギー密度化の余地はまだあると思われる。
ポストLIBとしては全固体LIBが最有力候補であり、体積エネルギー密度の大幅向上の可能性が期待できることから、車載用として適している。硫化物系全固体LIBの普及へ向けた技術的課題は、エネルギー/出力密度の向上及び安全性の確保、コスト低減が挙げられる。
産総研 電池技術研究部門では、硫化物系全固体LIBとしては電極/固体電解質シートを積層したシート型セル作製技術の開発、酸化物系全固体LIBとしては低温プロセス及び可塑性材料を組み合わせたプロトタイプのセルの開発に取り組んでいる。
(本稿は、2019年6月12日に千里ライフサイエンスセンター(大阪)にて行われた弊社主催「第5回蓄電池ユーザーズミーティング」での招待講演を基に構成したものです。)
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