メッセンジャーRNA(mRNA)医薬品の分析

メッセンジャーRNA(mRNA)医薬品は、標的タンパク質をコードしたmRNAを人工的に合成して体内に投与し、標的タンパク質を体内で産生させ、治療もしくは予防に用いる医薬品です。
2020年に新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るいましたが、mRNAワクチンがいち早く開発されたことでmRNA医薬品に注目が集まりました。
mRNA医薬品は、新型コロナウイルス以外にも、がん治療や再生医療などへの応用が期待されています。

東レリサーチセンターでは、お客様のmRNA医薬品の開発における課題解決を支援するため、 多彩な分析メニューを用意しています。

高品質な医薬品を安定して生産するために

特性解析(申請資料の信頼性の基準対応)

項目 分析手法
一次構造 RNA配列 塩基配列解析 サンガー法
Cap構造、ポリA鎖長 LC-MS
高次構造 高次構造 円偏光二色性(CD)
生物学的性質 Cell based -assay ELISA、フローサイトメーター
タンパク分析 SDS-PAGE、ウエスタンブロット

品質試験、安定性試験、試験法開発、分析法バリデーション(GMP対応)

FDA・PMDA査察実績のあるGMP部署で、各種条件下での試料保存、分析法バリデーション、ガイドラインで要求される各種試験に対応しています。

試験項目 分析手法
性状 外観、目視
確認試験 HPLC、キャピラリーゲル電気泳動、RT-PCR
純度試験 HPLC、LC-MS、GC、GC-MS、RT-PCR、キャピラリーゲル電気泳動
エンドトキシン トキシノメーター
含量及び封入率 蛍光プレートリーダー
脂質含量 LC-CAD
不溶性異物 外観、目視
不溶性微粒子 光遮蔽型微粒子計
浸透圧比 浸透圧計
力価 Cell based -assay
無菌試験 無菌試験(外注対応)

高品質に生産するための評価

原子間力顕微鏡(AFM)

mRNAワクチンやmRNA医薬品の製造には、鋳型となるプラスミドDNAが用いられることが一般的です。
mRNAの純度を高めるためには、プラスミドDNAの直鎖化率を高める必要があり、その評価が求められます。
原子間力顕微鏡(AFM)では、環状と直鎖状のプラスミドDNAを可視化して確認することができます。また鎖長の計測も可能です。

分析事例

生体内で安定性を保ち目的の場所に送達するために

DDS(Drug Delivery System)の評価

mRNA を治療または予防目的で応用するためには、細胞内の目的の場所にmRNA を安定な形で送達しなければならず、そのためにDDSが必要となります。
東レリサーチセンターでは、DDSとして用いられる脂質ナノ粒子(LNP)などの評価も行っています。

分析事例

疾患のメカニズム、薬効のメカニズムを解明するために

バイオイメージング

各種高分解能・高感度のイメージング技術を有し、分子・細胞レベルの解析を実施しています。
弊社保有のイメージング機能について:詳細はこちら

NanoSIMS

免疫染色を高空間分解能質量イメージング(NanoSIMS)に応用することで、一般的な蛍光イメージングに比べて、より高い感度・選択性・空間分解能で目的とするタンパク質の分布の可視化が可能です。
mRNA医薬品投与による、目的タンパク質の発現分布について評価を行うことが可能です。例として新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の受容体の可視化を行った結果を示します。

分析事例