リサイクルポリマー/リサイクルプラスチックの分析・評価

ポリマー(プラスチック)のリサイクル方法は様々ありますが、大きくはマテリアルリサイクルとケミカルリサイクル、サーマルリサイクルに分けられます。このうち、マテリアルリサイクルの場合、樹脂の精製工程におけるポリマー変性、不純物の混入、添加剤の劣化等々のリスクがあり、それに伴う様々なトラブルが考えられます。例えば、成形品の強度低下、外観不良、成形トラブル、接着不良、耐久性の低下などです。これらの事象原因は、樹脂の種類やその形態によっても異なります。リサイクルポリマーを使用することによって生じるトラブルの原因を調べるためには、現状把握をきっちり行い、仮説を立てたうえで、最適な分析手法を選択することが重要です。当社では、これまでの樹脂分析の実績をもとに、分析手法の選択からご相談させていただきます。

成形品の強度低下

引張強度や弾性率が想定値よりも低い、割れやすいなどの現象が生じた場合、ポリマーの変質(熱変性等)や異物の混入が考えられます。また、リサイクル品が複合材料であった場合、フィラーの変性等が強度に影響を与える可能性があります。

外観不良

ポリマーの変性や添加剤の変性によって、それぞれの構造が変化し、変色する可能性があります。また、ポリマー変性・分子量変化に伴うゲル化が進行し、外観不良が生じる可能性もあります。

成形トラブル

リサイクル品の配合比率不適合による歩留まりの悪化、低分子量不純物のガス化が原因で生じる成形不良、ポリマー変性や分子量変化に伴う成形品の結晶性やポリマー配向不良など、成形工程に影響を与える因子は多々あります。

接着不良

リサイクル品に存在する低分子不純物やオリゴマーの表面偏析、ポリマー配向の変化に伴う表面状態の変化、ポリマーの化学構造変化に伴う接着面の官能基変化など、接着不良につながる因子も多々あります。

PPやPEなどの再生材について、物性や構造をバージン材と比較するだけでなく、さまざまな観点からの材料分析・物性評価・品質評価、材料分析をおこなうことで、トラブルの原因解明の支援をいたします。

トラブル事例 着目 分析手法
成形品強度低下 ポリマーの変性 DSC, IR, NMR, GPC
異物の混入 顕微鏡観察、顕微IR、ラマン、EPMA、ICP-MS
フィラーの変性 X線CT, SEM-EDX, nanoSIMS, ポリマー除去+観察
外観不良 ポリマー変性 UV-vis, IR
添加剤の変性 UV-vis, LC/UV, 高分解能LC/MS, シミュレーション
ゲルの発生 IR, EPMA, GPC, GPC-MALS
成形トラブル リサイクル品の配合比率の影響 固体NMR, 溶液NMR, DSC, 多変量解析
ガス化成分の影響 P&T-GC/MS, TPD-MS
樹脂配向・結晶性の影響 XRD, ラマン、TEM、フラッシュDSC
接着不良 低分子不純物、オリゴマーの表面偏析 TOF-SIMS, IR, LESA-nanoESI-MS, HS-GC/MS
官能基変化 XPS, IR
配向性 XRD, ラマン、染色-TEM
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