分析基礎講座【X線回折・散乱、固体NMR分析】

講座概要

X線回折は、無機物や有機物、高分子などの材料中に存在する結晶からの散乱を解析し、物質(結晶)の化学構造を特定したり、材料物性に関わる結晶の大きさ、配向、結晶の量、残留応力などを評価する手法です。
X線回折は古くからある分析手法であり、簡便な装置が市販されていますが、測定目的により使用する装置の構成を変えるなど、データをどのように取得するのかが重要です。本講座ではその基となる測定原理を中心に応用事例を示しながら解説します。

固体NMRは、溶媒に不溶な高分子や電池材料、無機化合物、溶かすと構造情報が失われてしまう高次構造(結晶/非晶、結晶形など)の化学構造を分析する手法です。
固体NMRで一般的に利用されている13C NMR以外にも、29Si、19F、11B、1Hなどの分析事例を紹介します。
NMRではスペクトルからの構造解析以外に、緩和時間や拡散係数測定からダイナミクスを解析が可能です。
NMRは近年かなり自動化されてきましたが、定量分析やダイナミクス解析を行うには複数の測定方法を理解することや、ある程度の経験が必要です。電池材料を中心にダイナミクス分析事例についても解説します。
本講座では今後X線回折や固体NMRを利用して分析を行う方や、材料開発を行う上で構造評価を必要とされている方に原理や実際の事例を交えて、応用測定なども紹介します。

カリキュラム

  • X線回折・散乱とは
    1. X線の散乱・回折の原理
    2. X線回折の測定方法
  • X線回折・散乱分析の応用事例
    1. 粉末試料の定性、定量分析
    2. 薄膜・バルク試料の解析 結晶子サイズ、結晶配向、残留応力
    3. 高分子材料の構造解析
    4. 小角X線散乱
  • 固体NMRとは
    1. 固体NMRの原理と装置
    2. 固体NMRの測定方法
  • 固体NMRの分析事例
    1. 高分子材料への適用~定量、硬化程度
    2. 電池材料への適用~Liイオン電池、燃料電池
    3. 炭素材料、無機材料への適用