PFAS

有機フッ素化合物(PFAS)におけるPFOS、PFOAの分析【REACH規則】

■ はじめに

有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、下図のような構造を持ち、いずれも炭素-フッ素の強固な結合を持つため、生分解をほとんど受けず環境中に長期間残存する難分解性の化学物質です。疎水性と疎油性の両方の性質を持つ事から、撥水撥油剤、界面活性剤、半導体反射防止剤など幅広く使用されてきました。しかしながら、前述で述べたとおり環境中で分解がほとんどされず、環境への残留性、生物への蓄積性が問題視され、規制対象物質とされています。

  • PFOSの化学構造式
    PFOS
  • PFOAの化学構造式
    PFOA

また、炭素数8のPFOSおよびPFOAの代替物質として、炭素数6のPFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)、同じく炭素数6のPFHxA(パーフルオロヘキサン酸)も近年注視されています。その他にも炭素数の異なるパーフルオロカルボン酸(PFCAs)(C9~C14)に関しても代替物質として規制対象となる可能性があります。東レテクノでは、 PFASの中でもPFCAsに着目しており、多くのお客様から各種製品中のPFOS、PFHxS、PFOA、PFHxA等の分析のご依頼をいただきました。

  • PFHxSの化学構造式
    PFHxS
  • PFHxAの化学構造式
    PFHxA
  • PFDAの化学構造式
    PFDA
  • PFTeDAの化学構造式
    PFTeDA

■ 欧州での規制の動き

有機フッ素化合物(PFAS)の中でも、PFOSおよびPFOAは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」の規制対象となっています。PFOSは2009年に附属書B※1に、PFOAは2019年に附属書A※2に追加されました。さらに、PFHxSも2022年に附属書Aへの追加が採択されました。
また、欧州委員会(EU)ではREACH規則の制限対象物質リストが改正され、2020年7月以降PFOAとその塩を25ppb以上含有する混合物や成形品について、製造時使用および上市が原則禁止となりました。成形品をEUへ販売するためには使用制限を厳守する必要があります。

※1 製造・使用、輸出入の制限(附属書B)
※2 製造・使用、輸出入の廃絶(附属書A)

<製品中のPFCAs分析フロー>

試料を溶媒抽出しLC/MS/MSにて測定します。基本的にCEN/TS 15968を参考とし、試料形状に応じて分析方法をご提案致します。


  • LC/MS/MS

■ 日本での規制の動き

日本国内でも化審法(化学物質審査規制法)で有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるPFOSが2010年に第一種特定化学物質に指定されており、製造、輸入の許可制、使用の制限等の措置を講じています。またPFOAもその有害性から、2021年に化審法第一種特定化学物質に指定されました。化審法では第一種特定化学物質の規制適用に係る基準値がないため、含有している場合はもちろんですが、たとえ副生物であっても規制対象となる場合があるので注意が必要です。
また、水道水質基準では、2020年にPFOSとPFOAの量の和として、50 ng/L以下(暫定)として水質管理目標設定項目に追加されました(令和2年3月30日付け薬生水発0330号第1号)。
加えて、2021年に要検討項目としてPFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)が追加されました (令和3年3月26日付け薬生水発0326第1号)。

<水中のPFOS/PFOA分析>
各検査方法に準じて実施いたします。

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