エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は様々な素材に対して高い接着力を有し、電気絶縁性、耐熱性、機械的強度、耐溶剤性などに優れるため、電気・電子分野では実装用を中心に半導体封止樹脂、プリント基板用樹脂、導電性接着剤、LED封止樹脂など様々な用途に使用されています。また、フィラーが配合されることも多く、その形状、分散状態は物性に影響を与えます。さらに加水分解性塩素は長期絶縁特性の観点から問題となるためその存在量を把握しておく必要があります。難燃性を付与するための難燃剤、応力緩和のための低応力化剤も目的に応じて配合されます。
分析メニュー
対象 | 分析項目 | 分析項目の詳細 | 手法 |
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未硬化物 | 有機組成 | FT-IR、NMR、GPC分取、MSなど | |
分子量分布 | GPC | ||
硬化機構 | 熱走査FT-IR、熱走査Raman、DSC、(液体)粘弾性 | ||
フィラーの定性・定量 | 蛍光X線、ICP、原子吸光、X線回折 | ||
表面物性 | 表面張力、接触角 | ||
エポキシ当量 | 滴定 | ||
残留塩素 | IC | ||
硬化物 | 有機組成 | 固体NMR、熱分解GC/MS、FT-IR、CHN分析 | |
機械特性 | 強度試験、疲労試験、硬さ試験 | ||
電気特性 | 電気抵抗、誘電率 | ||
フィラーの定性・定量 | 蛍光X線、ICP、原子吸光 | ||
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法 | |
硬化度、ガラス転移温度 | DSC、温度変調DSC | ||
軟化温度 | nano-TA | ||
熱伝導率 | フラッシュ法 | ||
比熱 | DSC | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | TG-MS、P&T-GC/MS | ||
フィラーの形態 | 形状 粒径分布 | SEM、TEM | |
フィラーの分散状態 | SEM | ||
不純物 | ICP-MS | ||
環境負荷物質 | PBB、PBDE | 臭素元素として分析 | |
吸水性 | 非定常ステップ状吸水法 |
ポリイミド
ポリイミドは高耐熱性、摺動特性があり、電子材料用途としては主にフレキシブルプリント基板、TABテープなどに使用され、近年では5G関連でも多く採用されています。ポリイミドの前駆体はポリアミック酸であり、その共重合組成、分子量およびイミド結合への閉環反応時の反応機構や発生ガスは特性を決定するうえで重要です。銅張ポリイミドフィルムでは接着界面が重要であり、接着状態を調べるためには形態観察が必要です。また、5G用途では、低誘電率化、低吸水率化が求められ、材料選定するためにはこれらを正しく評価する必要があります。
分析メニュー
対象 | 分析項目 | 分析項目の詳細 | 手法 |
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ポリアミック酸 | 有機組成 | FT-IR、NMR、加水分解+誘導体化+GC/MS、熱分解GC/MS | |
分子量分布 | GPC | ||
反応機構 | 熱走査FT-IR | ||
残留塩素 | イオンクロマト | ||
ポリイミド | 有機組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、加水分解+誘導体化+GC/MS、熱分解GC/MS | |
構造解析 | イミド化率、劣化構造 配向 |
FT-IR、固体NMR、Raman X線回折、偏光ATR |
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硬化度(分布) | 熱走査IR、O-PTIR(分布)、ナノインデンテーション | ||
機械特性 | 強度試験、疲労試験、硬さ試験、ナノインデンテーション、DIC(ポアソン比) | ||
電気特性 | 誘電率 | 誘電損失測定 容量法(~MHz)、 プローブ法(MHz~40GHz)、 共振器法(10GHz-95GHz) |
|
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法、定常法(Z方向) | |
熱伝導率 | レーザフラッシュ法、光交流法 | ||
比熱 | DSC | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | 水分、残存溶媒解析 | TPD-MS(TOFMS), 熱脱離・熱分解GC-MS |
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不純物 | 蛍光X線、ICP、ICP-MS | ||
イオン性不純物 | イオンクロマト | ||
異物分析 | 顕微FT-IR、顕微Raman、TOF-SIMS、SEM、TEM、O-PTIR(断面) | ||
環境負荷物質 | PBB、PBDE | 臭素元素として分析 | |
Cuとの界面状態 | TEM、FT-IR、密着力測定、SIMS、XPS | ||
吸水特性 | 湿度膨脹 | TMA | |
吸水量 | TPD-MS | ||
吸水性 | 湿度制御TG、TG-MS、SIMS | ||
耐湿性 | 湿度制御TMA(XY方向)、 湿度制御インデンテーション |
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ガス透過 | 差圧法、モコン法 |
アクリル樹脂
アクリル樹脂は透明性と耐候性に優れ、レジスト材料、粘着材・接着剤、コーティング材から光学材料、成型品まで幅広く用いられています。モノマーの種類、分子量、グラフト構造、反応性官能基の量、重合方法が目的に応じて様々に選択可能であり、そのことが多用途への展開を可能にしています。重合方法に関して光重合開始剤を用いた紫外線硬化樹脂としての用途はフォトリソグラフィー、コーティング材料として最も技術開発が進んでいる分野です。
分析メニュー
対象 | 分析項目 | 分析項目の詳細 | 手法 |
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モノマー | 反応解析 | 重合熱 | 熱量計、光反応熱量計 |
重合機構 | 熱走査FT-IR | ||
不純物 | GC/MS、LC/MS | ||
ICP-AES、ICP-MS、AAS | |||
蒸気圧 | 静止法 | ||
エマルジョン | 有機組成 | ポリマー組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、熱分解GC/MS、NMR |
界面活性剤 | FT-IR、CHN分析、NMR | ||
分子量分布 | GPC | ||
粒径分布 | 光散乱・遮断法、光回折・散乱法、動的光散乱法、TEM | ||
界面張力 | リング法 | ||
溶液 | 有機組成 | FT-IR、CHN分析、熱分解GC/MS、NMR | |
粘度 | 各種粘度計 | ||
不純物 | ICP-AES、ICP-MS、AAS | ||
固形物 | 有機組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、熱分解GC/MS、NMR | |
厚さ方向分析 | 斜め切削+FT-IR・TOF-SIMS・XPS | ||
分子量分布 | GPC | ||
構造解析 | 共重合組成 | FT-IR、NMR | |
連鎖分布 | NMR、HPLC | ||
立体規則性 | NMR | ||
光学特性 | 屈折率 | アッベ法 | |
旋光度 | |||
光弾性 | |||
透過率、反射率 | 紫外・可視・赤外分光分析 | ||
酸価、水酸基価 | 電位差滴定法、誘導体化+NMR | ||
機械特性 | 強度試験、疲労試験、硬さ試験、ナノインデンテーション | ||
電気特性 | 電気抵抗、誘電率 | ||
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法 | |
熱伝導率 | レーザフラッシュ法、光交流法 | ||
比熱 | DSC | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | TPD-MS、P&T-GC/MS | ||
不純物 | 蛍光X線、ICP、ICP-MS | ||
吸水特性 | 湿度膨脹 | TMA | |
吸水量 | TPD-MS | ||
相分離構造 | SEM、TEM、AFM | ||
フィラーの分散状態・ 形態観察 | TEM、SEM | ||
異物分析 | 顕微FT-IR、顕微Raman、TOF-SIMS、SEM、TEM | ||
環境負荷物質 | PBB、PBDE | 臭素元素として分析 |
ポリエステル
ポリエステルは飽和ポリエステルと不飽和ポリエステルに大別することができますが、飽和ポリエステルはフィルム、電子部品、家電の塗装などに使用され、特にフィルムは磁気記録媒体、絶縁材、コンデンサー、反射防止などが主な用途になります。一方、不飽和ポリエステルはGFRPとして使用されることが多く、一般的に成型品に加工されます。全芳香族ポリエステルは高耐熱性と良好な成形性を有するため、鉛フリーハンダを用いた表面実装対応の電子部品などに多用されています。
分析メニュー
対象 | 分析項目 | 分析項目の詳細 | 手法 |
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飽和ポリエステル | 共重合組成 | FT-IR、 NMR、加水分解+誘導体化+GC/MS、熱分解GC/MS | |
分子量分布 | GPC | ||
配向性 | X線回折、偏光Raman、光学二色性、固体NMR、複屈折 | ||
結晶化度 | 密度、X線回折、DSC | ||
ガス透過性(バリア性) | 透過率 | 差圧式定常法 | |
拡散係数 | 非定常ステップ法 | ||
重合触媒 | ICP-AES、蛍光X線 | ||
機械特性 | 強度試験、硬さ試験、ナノインデンテーション | ||
電気特性 | 電気抵抗、誘電率 | ||
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法 | |
熱伝導率 | レーザフラッシュ法、光交流法 | ||
比熱、転移現象 | DSC、微小部熱分析 | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | TPD-MS、P&T-GC/MS | ||
表面分析 | 官能基、元素 | XPS、TOF-SIMS、FT-IR(ATR)、EPMA | |
表面形状 | AFM、表面粗さ | ||
積層構造 | SEM、TEM | ||
オリゴマー定量 | HPLC | ||
添加剤分析 | LC/UV、GC/MS、LC/MS、GPC分取、分取物のFT-IR、NMR、MS | ||
異物分析 | 顕微FT-IR、顕微Raman、TOF-SIMS、SEM、TEM | ||
不純物分析 | ICP-MS | ||
環境負荷物質 | PBB、PBDE | 臭素元素として分析 | |
PFOS、PFOA | LC/MS/MS | ||
アルデヒド | HPLC | ||
不飽和ポリエステル (FRP、架橋体) |
共重合組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、加水分解+誘導体化+GC/MS、熱分解GC/MS | |
構造解析 | 架橋構造 | FT-IR、固体NMR、Raman X線回折、 |
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機械特性 | 強度試験、疲労試験、硬さ試験、ナノインデンテーション | ||
電気特性 | 電気抵抗、誘電率 | ||
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法 | |
熱伝導率 | レーザフラッシュ法、光交流法 | ||
比熱、転移現象 | DSC、微小部熱分析 | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | TPD-MS、P&T-GC/MS | ||
フィラーの種類 | 蛍光X線、顕微FT-IR、X線回折 | ||
フィラー含有量 | TG、蛍光X線 | ||
フィラー界面 | 樹脂とフィラーの界面 | TEM、SEM | |
添加剤分析 | LC/UV、GC/MS、LC/MS、GPC分取、分取物のFT-IR、NMR、MS | ||
異物分析 | 顕微FT-IR、顕微Raman、TOF-SIMS、SEM、TEM | ||
環境負荷物質 | PBB、PBDE | 臭素元素として分析 | |
PFOS、PFOA | LC/MS/MS |
シリコーン樹脂
シリコーン樹脂は絶縁性、耐熱性、難燃性、安全性に優れ、オイル、エマルジョン、ゴムなど様々な形状で使用されています。一般的にはジメチルシロキサン単位が最も使用されており、側鎖や末端に反応性官能基を導入することにより構造を制御することが可能なため、特異な物性を得ることができます。また、シランカップリング剤は無機物と有機物の接着性向上に不可欠なシラン化合物であり、フィラー含有率の高いエポキシ樹脂などとともに用いられます。
分析メニュー
対象 | 分析項目 | 分析項目の詳細 | 手法 |
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シランカップリング剤 | 組成 | GC/MS、NMR | |
反応解析 | NMR | ||
重合機構 | 熱走査FT-IR | ||
エマルジョン | 有機組成 | ポリマー組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、熱分解GC/MS、NMR |
界面活性剤 | FT-IR、CHN分析、NMR | ||
分子量分布 | GPC | ||
粒径分布 | 光散乱・遮断法、光回折・散乱法、動的光散乱法、TEM | ||
界面張力 | リング法 | ||
オイル | 有機組成 | FT-IR、蛍光X線、熱分解GC/MS、NMR | |
構造解析 | 共重合組成 | FT-IR、NMR | |
粘度 | 各種粘度計 | ||
熱特性・熱分析 | 比熱 | DSC | |
密度 | ピクノメーター | ||
不純物 | ICP-AES、ICP-MS、AAS | ||
発生ガス | P&T-GC/MS | ||
分子量分布 | GPC | ||
固形物 | 有機組成 | 固体NMR、FT-IR、CHN分析、熱分解GC/MS、NMR | |
厚さ方向分析 | 斜め切削+FT-IR・TOF-SIMS・XPS | ||
分子量分布 | GPC | ||
構造解析 | 共重合組成 | FT-IR、NMR | |
連鎖分布 | NMR、HPLC | ||
機械特性 | 強度試験、疲労試験、硬さ試験、ナノインデンテーション | ||
電気特性 | 電気抵抗、誘電率 | ||
熱特性・熱分析 | 熱膨張率 | TMA、レーザ干渉法 | |
熱伝導率 | レーザフラッシュ法、光交流法 | ||
比熱 | DSC | ||
密度 | アルキメデス、気体置換 | ||
熱衝撃 | 熱衝撃試験 | ||
発生ガス | TPD-MS、TG-MS、P&T-GC/MS | ||
不純物 | 蛍光X線、ICP、ICP-MS | ||
相分離構造 | SEM、TEM、AFM | ||
フィラーの分散状態・ 形態観察 | TEM、SEM | ||
異物分析 | 顕微FT-IR、顕微Raman、TOF-SIMS、SEM、TEM |