複合材料とは、材料の特性を向上させることを目的として2種類以上の素材を組み合わせて、それらが材料内で成形中も含めて明確な境界を有している材料のことです。その内の一つである繊維強化プラスチックスとは、プラスチックスをアラミド、炭素繊維、ガラス繊維などで補強したものです。繊維強化プラスチックスは金属材料に比べ比強度・比剛性が高く成型性に優れているなどの利点から様々な分野で注目されています。

コンポジット
複合材料中の繊維の向き・並び方などがどのようになっているかを観察し、繊維とマトリックス樹脂の界面の状態を把握することが重要です。また、複合材料中に異物が存在していた場合、三次元的に観察を行うことも重要です。さらに、コンポジットの力学特性(引張り・圧縮・曲げ・層間せん断等)を確認することも重要です。
繊維(単糸)
複合材料に使用されている繊維(単糸)についても、力学特性、結晶性・配向などの把握、また、繊維表面の微細な形状、表面付着物を分析することも重要です。特に、表面形状等については、マトリックス樹脂との相性により接着性に大きく影響します。接着性が悪ければ、剥離・残留応力等が生じる場合があります。
繊維/マトリックス樹脂界面
複合材料は、2種類以上の素材より構成されているため、多数の界面が存在します。よって、界面とマトリックス樹脂との結合・接着性・剥離・残留応力を把握することは重要であります。
分析メニュー
複合材料に用いられる分析手法(一例)
着目箇所 | 項目 | 適用手法 |
---|---|---|
コンポジット | 断面観察 | 光学顕微鏡、SEM |
力学特性(強度・弾性率等) | 材料試験 | |
熱特性 | TMA、熱伝導率法、熱天秤 | |
界面剥離 | 熱伝導率法、μ-TA | |
残留応力 | ラマン分光法(Raman) | |
繊維(単糸) | 圧縮強度 | 微小圧縮試験 |
結晶性・配向 | X線回折、小角散乱、ラマン分光法(Raman) | |
表面近傍の構造 | 断面TEM-EELS | |
表面組成、官能基 | XPS | |
表面観察、局所組成 | SEM、AES | |
表面形状・物性分布 | SPM | |
表面付着化学種 | GC/MS、LC/MS、TPD-MS | |
マトリックス | 組成分析 | FT-IR、GC/MS、MALDI-MS |
組成分布 | TEM | |
加熱発生ガス | GC/MS、TG-MS、TPD-MS | |
分子量分布・サイズ(溶媒可溶) | GPC、GPC-MALS | |
微小異物分析 | 顕微FT-IR、SEM-EDX、μ-MS | |
結晶化度 | X線回折、DSC | |
ガラス転移温度 | 温度変調DSC |