接着・密着性

一般に、材料どうしを接着剤で貼り合わせる場合、その接着性を左右する最も重要な因子は被着体と接着剤との間に働く分子間力です。したがって、接着性に影響を与える表面とは分子間力の到達する範囲、すなわち表面から数nm以内ということになります。このことから、接着性を評価するための分析手法としては表面感度の高い表面分析手法が主に用いられます。また、接着性には表面の化学構造だけでなく、微細な凹凸や力学的特性など様々な因子が影響すると考えられています。下表に接着性を評価するために用いられる分析手法についてまとめました。当社では、永年培ってきた高度な分析技術と経験を踏まえ、様々な材料について、接着・密着性に関わる問題の原因解析のお手伝いをさせていただきます。

接着・密着性に影響する因子と分析手法

接着性に影響する因子 分析手法 能力・特徴
濡れ性
表面自由エネルギー
接触角
(+表面エネルギー解析)
接着のモデル試験的位置づけ
界面接着強度と密接な関係
表面の組成・化学構造・官能基
(化学結合、分子間力など)
XPS(+化学修飾) 表面感度高い、定量性良好
TOF-SIMS 表面感度高い、微量分析、高空間分解能
FT-IR 構造情報豊富、配向評価も可能
表面微細形状
(投錨効果、表面積増大)
SEM 汎用性高い、凹凸が激しい表面も観察可
AFM 表面粗さなど定量可
表面の力学的・熱的性質
(被着体の凝集力、剥離時の応力集中など)
粘弾性AFM 高空間分解能、絶対値比較は困難
ナノインデンテーション 表層数十nmの硬度、弾性率評価
ナノTA 微小部のガラス転移温度などの評価