有機材料・化成品の同定では基本的な有機分析の手法を組み合わせ、構造解析を実施します。添加剤や不純物、変成物の解析ではクロマトグラフィーなど分離手法と構造解析手法の組み合わせが重要です。
主成分の純度確認としては元素分析による元素組成の確認、各種クロマトグラフィーによる分析などが用いられます。化合物中の極微量の不純物の分析にはGCやLCによる高度な分離とMSによる高感度分析の組み合わせが有効です。
主成分構造解析
有機物の構造は無限であり、その構造を正確に決定するためには複数の分析手法から得られる情報を照合し、解析を行う必要があります。有機物構造解析の基本的な手法としては官能基の情報を得るIR、構造の骨格の情報を得るNMR、分子量や部分構造の情報を得るMSなどがあります。これらを適切に組み合わせ、化合物構造の決定を行っています。
微量成分・添加剤の構造解析
有機材料で作られた実際の製品は、%~ppmオーダーまでの色々な機能を持つ化合物により構成されています。複雑な組成物の中から目的の化合物を取り出し、構造を調べるためには「分離」の技術が必要となります。GC/MSやLC/MSなどのオンラインでの分離に加え、GPC分取、カラムによる分離、HPLCでの精密分取など目的の成分とマトリックスに応じた分離を駆使し、単離した成分の構造を決定します。
純度分析
主成分と不純物が類似したものの場合は主にクロマトグラフィーを中心とした方法で純度を求めます。ただしこれらの方法では溶媒に溶けない化合物の純度を求めることは困難であり、「目的のものか」を調べるためにまず元素組成を調べる場合もあります。100%近い純度のものや不純物が主成分と全く異なる化合物(水分、分解物etc)の場合は不純物の側を定量し、純度を評価する場合もあります。
微量成分定量
ppm~ppbの極微量でも合成反応を抑制する化合物、微量でも有害性があり製品中に存在しないことの確認が必要な化合物があります。定量対象の化合物が定まっている場合は、主にGC/MS、LC/MSなどの手法を用い、特定の化合物のみを「選択的」に高感度検出することにより極微量の定量分析を行います。
分析メニュー
項目 | 詳細 | 手法 |
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主成分構造解析 | 化学構造 | FT-IR、NMR、MS、GC/MS、LC/MS |
分子量分布 | MS、GPC | |
官能基 | 酸価、水酸基価、エポキシ当量等 | |
微量成分・添加剤 構造解析 | 化学構造 | GC/MS、LC/MS、分取-FT-IR、NMR、MS |
イオン成分 | ION-C、IC-MS | |
主成分定量 | 元素組成 | CHN、O、S、ハロゲン |
濃度 | GC、HPLC、NMR | |
微量成分・添加剤 定量 | 元素分析 | 微量N、微量S、微量ハロゲン、水分 |
濃度 | GC、HPLC、GC/MS(SIM)、LC/MS/MS、 ION-C、NMR、水分 |