化学物質法規制に関する試験と審査

当社は、長年に渡り多数の試験と申請コンサルティングの実績がございます。その蓄積された経験とノウハウに基づき、化学物質の審査及び製造 等の規制に関する法律(化審法)及び、海外の化学物質法規制に関わる各種試験、申請コンサルティングのサービスを提供しております。

1.化審法とは

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染及び被害の発生を契機として昭和48年(1973年)に制定された法律であり、新規化学 物質を製造又は輸入を行うにあたって、人への有害等について事前に審査するとともに、環境を経由して人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造、輸入および使用を規制するものです。新規化学物質を製造又は輸入する際は、試験データを添えて事前に審査を受けなければなりません。

1-1.低分子化合物についての試験

低分子化合物(新規化学物質)は多くの場合、「分解度試験」、「濃縮度試験」を実施する必要があります。
また、製造・輸入数量によっては「スクリーニング毒性試験」、「生態毒性試験」を実施します。当社では低分子化合物(新規化学物質)についての試験受託・申請コンサルティングを行っております。

低分子化合物についての試験

また、化学物質の物理化学的性状密度・融点・沸点・蒸気圧・比熱等の申請資料に記載する物性値の測定もお任せ下さい。お気軽に問合わせ下さい。

1-2.高分子化合物についての試験|高分子フロースキーム試験

一般的に、高分子化合物(新規化学物質)は低分子化合物と比べて安定であるため、別途、「高分子化合物の安全性評価のための試験方法(高分子フロースキーム)」が定められています。高分子フロースキーム試験は、安定性試験、溶解性試験及び分子量分布の評価から構成されます。なお、分子量1000未満成分の含有率が1%を超える高分子化合物(新規化学物質)については、「高分子フロースキーム試験+濃縮度試験」で申請可能です。

高分子フロースキーム試験概要(一覧)

試験項目 試験内容
安定性試験
(分解性を示唆する知見)
熱・光・酸・アルカリに対する安定性のチェック
<試験条件>
・pH:4.0、9.0
・温度:40±2℃
・時間:2週間
<分析項目>
・溶存有機炭素濃度(DOC)測定
・重量測定(DOC測定結果を補完する目的)
・分子量測定(GPC)
・赤外吸収スペクトル(FT-IR)測定
溶解性試験 水及び有機溶媒への溶解性のチェック
<溶媒>
・水
・THF、DMF*
*DMFに代えてDMSO又はNMPを使用することができる。
<試験条件>
・温度、時間:35~40℃にて1時間かくはん
・平衡:25±2℃にて24時間
<分析項目>
・DOC測定(水に対する溶解性試験)
・重量測定(THF、DMFに対する溶解性試験)
分子量分布測定
(濃縮性を示唆する知見)
生体膜を通過してしまうような低分子量物(分子量1000未満の成分)を 1%以上含んでいないかどうかのチェック(溶解性が認められる場合)
<分析方法>
GPC、GPC-LS

1-3.様々な高分子に対応

1987年に高分子フロースキーム試験が化審法にて制定されて以来、当社は高分子化合物(新規化学物質)について多数の試験と申請コンサルティングの実績がございます。有機溶媒可溶の高分子をはじめ、水溶性高分子、溶媒不溶高分子、更には酸・アルカリで分解する高分子 等、様々な高分子に対して、これまでの豊富な経験をもとに最適な試験計画を提案します。GPC(SEC)は当社が得意とする手法です。各種緩衝液を用いた水系の条件、PFPやHFIP等のフッ素系溶媒の条件、及び高温条件等、各種ポリマーに最適なGPC測定条件にてデータを提供いたします。

1-4.最適な試験の立案から申請までをサポート

化学物質によって最適な試験方法が異なります。また、申請方法に必要な期間等も異なります。当社では申請予定の新規化学物質に最適な試験の立案や申請(届出、申出)をサポート致します。まずは、事前打ち合わせから、お気軽に問合わせ下さい。

最適な試験の立案から申請までをサポート

2.海外の化学物質法規制|韓国・中国・台湾・フィリピン

提携機関と強力に連携し、韓国・中国・台湾・フィリピンの化学物質法規制に基づく、化学物質の申請をサポート致します。当社で実施した海外申請用GPC測定の英文報告書作成も対応可能です。

中国では、2021年に新化学物質環境管理登録弁法が施行されました。旧法での高分子簡易申告は、新法では備案(あるいは届出)を行う必要があります。
また、当社ではフィリピン申請も開始しました。

海外新規化学物質申請 韓国、中国、台湾、フィリピンへの高分子化学物質の申請代行サービス
https://www.toray-research.co.jp/businesses/analysis-evaluation/ana_024.html

3.化学物質の法規制動向|ペルフルオロオクタン酸(PFOA)又はその塩

令和3年(2021年)4月21日に、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」が公布されました。
・「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)又はその塩」が、第一種特定化学物質に指定されます。
・PFOA又はその塩を含有する製品のうち、「耐水性能又は耐油性能を与えるための処理をした紙」等、13種の製品について、輸入ができなくなります。
この政令は、令和3年10月22日から施行されます。
東レテクノ株式会社で、PFOA、PFOS(*)について分析を行っております。お気軽に問合わせ下さい。
(*)ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)

東レテクノのPFOA、PFOSの技術資料は下記リンクをご参照下さい。

関連情報ページ(PFOA、PFOS):http://www.toraytechno.co.jp/technical_information/pdf/REACH.pdf

4.平成29年化審法改正について

平成29年に化審法が改正されました。本改正により、化学物質のカテゴリが新設され、また、申請方法による製造・輸入可能数量の取扱いが変わりました。さらに、高分子化合物に関する運用(90%ルールの新設)等の運用面、各種試験等も一部変更されました。関連法規制の情報は下記リンクをご参照ください。

(関連情報ページ:)
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/6B39CFE50B6CF0B2492582720021FDE7?open

5.高分子化合物の定義、低懸念ポリマーについて

高分子化合物の定義、低懸念ポリマーの基準の関連法規制の情報は下記リンク先をご参照ください。

(関連情報ページ:)
https://web02.tsc.collab.cloud/news/trc/news_rd01.nsf/0/B8C0BED21ECF19AC49257D69000A3469?open

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